【高校生の取り組み】視野広げ、仲間たちと実践

「SDGsカルタ」のお気に入りの札を紹介する県立竹園高SDGsサークルの榎本康汰さん、花井舞風さん、古國真奏さん、鈴木未來さん、(左から)=つくば市竹園の同高

竹園高SDGsサークル

 SDGs の17 の目標達成の鍵を握るのは、将来を担う子どもたちだ。中でも高校生は小中学校で学んだSDGs に関する知識を基に、視野を広げて社会課題解決のためにできることを探し、実践に移すことが期待される。昨年度から高校で必修となった「総合的な探究の時間」を活用する学校も多く、県内でも高校生の取り組みが広がりつつある。県立竹園高(つくば市竹園)のSDGs サークルの活動を紹介する。

それぞれのペース

 6月下旬の放課後、竹園高の教室にSDGs サークルのメンバー数人が集まった。1~3年の計17 人のメンバーは他の部活動と掛け持ちしている人も多く、それぞれのペースで参加できるのが特徴だ。

 設立のきっかけとなったのが、2020年度に同高の先輩たちが制作した「SDGs カルタ」だ。JICA 筑波の高校生国際協力実体験プログラムに参加した生徒らが中心となり考案。学校中の協力を得て半年がかりで、SDGs の目標の理解につながる読み札の英文を考えるとともに、AからZまで手描きの絵札を完成させた。そのカルタを広めようと、制作委員会を母体に設立したのがSDGs サークルだ。

「SDGsカルタ」のうち、JAXA(宇宙航空研究開発機構)を題材にしたJと、筑波山を題材にしたMの絵札と読み札

受け継いだカルタ広める

 現在のサークルのメンバーたちは、先輩たちから受け継いだカルタを広めることを活動の軸とする。

 カルタ制作を知って同高を志望したという古國真奏さん(2年)は「絵札は描いた人の個性が出ていて、題材のジャンルも幅広い」とPR。花井舞風さん(1年)は、同市特産の福来みかんを題材にしたFの「Fukuremikan improves the local economy(福来みかんは地域を活性化する)」を例に、「地元に関する題材が多く、身近にも自分たちにできることがあると思えた」と話した。

 メンバーらはイベントや学校などに出向き、カルタの体験を通じてSDGsの啓蒙を図っている。子ども連れを中心に参加者の年代は幅広く、つくば市内で開かれた科学の国際コンテストでは、カルタを知らない外国人向けに「オールイングリッシュ」で説明した。榎本康汰さん(2年)は「カルタを広めるのは楽しいし、学校の外で活動することで視野が驚くほど広がった」と強調。鈴木未來さん(同)は「いろいろな人たちにどう伝えるか苦労したが、その分、楽しんでくれたときの喜びは大きかった」と笑顔で話した。

「やるしかない」

 サークルではほかにも、文化祭「尚志祭」での発表や、テスト後のゴミ拾い、環境保護のための携帯カイロ回収などの活動を行っている。サークルのことを校内でもっと知ってもらおうと、4月から「月刊ニュース」の発行を始めた。

 メンバーらはSDGs の目標達成のために「自分たちに何ができるか」を日々、模索している。

 古國さんは「環境問題なら省エネなどできることはある。高校生でもできることをやっていかなければ」と決意。鈴木さんは「本を読むなどして地球温暖化などに危機感を持った。気付いてしまったからにはやるしかない」と力を込めた。

 榎本さんは「SDGs は共通言語。自分一人では難しくても、世界中の人と協力できる」とSDGs の優れている点を挙げた。花井さんは「多様性に関心がある。コミュニケーション能力を磨いて、さまざまな人たちと理解し合い溝を埋めていきたい」と語った。