【海の豊かさを守ろう】きれいな海を保ちたい
茨城高専園芸・環境同好会
SDGs の17 の目標の中でも、本県にとって身近なのが目標14「海の豊かさを守ろう」だ。長い海岸線を有する本県は漁業が盛んで、この夏も多くの海水浴客が訪れている。さまざまな恩恵をもたらしてくれる海だが、近年、プラスチック製品などの漂着ごみが問題となり、マイクロプラスチックによる海洋汚染が懸念される。回収したプラスチックごみを活用したキーホルダーなどの小物作りを通じて、マイクロプラスチック問題を訴える茨城工業高等専門学校(茨城高専=ひたちなか市)園芸・環境同好会の活動を紹介する。
プラごみ活用し小物づくり
赤、青、緑など色ごとに分けられたプラスチック片。色鮮やかで、ペットボトルキャップなどのプラごみを細かく刻んだものとは思えない。
それらを型に流し込んだ合成樹脂のUV レジン液の中にきれいに並べ、UV ライトを照射して固めればキーホルダーの完成だ。
プラごみを活用した小物作りのワークショップに取り組んでいるのは、茨城高専園芸・環境同好会。4月には同市殿山町の姥の懐マリンプールで開かれた「アースデイウバ!ひたちなか」に出展し、子どもを中心に幅広い年代の人が参加した。塙由衣さん(2年)は「色の選び方や並べ方など、作る人の個性が出る」と説明した。
園芸・環境同好会は園芸班と環境班があり、昨年度設立されたばかり。環境班は、約3年前からマイクロプラスチックなど環境問題の調査を行ってきた学生有志を母体とし、現在もマイクロプラスチックの流入調査や海岸でのごみ拾い、アサガオのグリーンカーテン作りなどに取り組んでいる。2月には同市の環境シンポジウムで活動発表も行った。
ワークショップも活動の一環で、文化祭のほか、6月に東京・秋葉原で開かれた国公私立高専合同説明会(KOSEN FES)などのイベントに出展している。副会長の根本彩耶さん(4年)は「マイクロプラスチックの問題について広く知ってもらおうと思ったのがワークショップを始めたきっかけ。少しでも多くの人に関心を持ってもらいたい」と力を込めた。
生態への悪影響懸念
マイクロプラスチックは、プラごみが波にもまれるなどしてできた微粒子で、生物や生態系への悪影響が懸念される。環境意識の高まりから、マイバッグ持参などでレジ袋を削減しようとする動きが広がるが、県内の海岸周辺でも捨てられたり漂着したりしたごみが多いのが現状だ。
同好会のメンバーが4月のワークショップに先立ち海岸のごみ拾いを行ったところ、約1時間でごみ袋2袋分のごみを回収。ペットボトルやおもちゃ、釣り用具などのプラスチック製品のほか、花火やバーベキューの残がいなども多かったという。菜花明生さん(4年)は「レジ袋のごみはほとんど見なくなったが、それ以外にも多くのプラごみが落ちている」と話した。
メンバーの多くは地元出身で、「茨城のきれいな海を保ちたい」というのが共通の願いだ。海水浴シーズンを迎え、中島愛奈さん(3年)は「ごみ袋を1人1袋持参するなどして、ごみを捨てないでほしい」と呼び掛けた。