《もっと知りたい!①》多文化理解・多文化共生
SDGs への理解を深めたい人にお薦めの本をJICA 筑波図書館の司書、松田ミカさんに紹介してもらう「もっと知りたい」。今回のテーマは多文化理解・多文化共生です。
あたし、メラハファがほしいな
―さばくのくにモーリタニアのおはなし
光村教育出版(2014年)
文/ケリー・クネイン
絵/ホダー・ハッダーディ
訳/こだま ともこ
信仰の意味を知る
西アフリカ、サハラ砂漠のあるモーリタニアには、イスラム教を信仰する人々がたくさんいます。男の人たちはターバンで頭をおおい、女の人たちはメラハファという美しい一枚の布を頭の上からまといます。絵本の題名の「あたし」は、表紙の絵の左から2番目の女の子。お母さんやお姉さんのメラハファ姿にあこがれ、自分も欲しいと言いますが、理由を聞かれ、「きれいだから」「ひみつめいて見えるから」と答えているうちは相手にされません。けれど、メラハファをまとう本当の意味がわかった時、お母さんは空のように青いメラハファで「あたし」を包んでくれました。暮らしの中の信仰について知ることができる絵本です。
6カ国転校生 ナージャの発見
集英社インターナショナル(2022年)
著者/キリーロバ・ナージャ
国によって違う「ふつう」
6つの国、4つの言葉で学ぶとどうなるか? ロシア、日本、イギリス、フランス、アメリカ、カナダで小学生時代を過ごしたナージャが体験した驚きと発見が紹介されています。世界はこんなに違ってた! たとえば、筆記用具に何を使うか。たくさん書くために鉛筆を使う国があり、じっくり考えてから書くためにペンを使う国がある。大切だと評価する基準が、国によって違ってくる。ナージャは行く先々でよく観察し、理由を考えます。そして、正解はない、違いがあるだけ、と気づきます。「ふつう」という基準は住むところによって変わるもの。自分の「ふつう」を見つめなおすきっかけにもなる本です。