《もっと知りたい!③》絵本を海外に届ける活動や、日本語の学習支援と交流
SDGsへの理解を深めたい人にお薦めの本をJICA筑波図書館の司書、松田ミカさんが紹介する「もっと知りたい!」。最終回は、絵本を海外に届ける活動や、日本語の学習支援と交流に関する本です。
わたしは10歳、本を知らずに育ったの。
アジアの子どもたちに届けられた27万冊の本
合同出版(2017年)、鈴木晶子、山本英里、三宅隆史著
公益社団法人シャンティ国際ボランティア会編
楽しい話、易しい文で
「今の世界には、読み書きができない人が約7億5000万人いるといわれています。そのうち7割がアジアの人たちで、63%が女性なのです」(本書より)。なぜ、読み書きができないのか? 学校へ行けないのか? 原因は、紛争や貧困、女の子・女性への差別などいろいろあります。本書は、難民キャンプやスラム街にも図書館をつくり翻訳絵本を届けているシャンティの活動と、絵本と出合って新しい人生を歩み始めた子どもたちを紹介。絵本は、カラフルで楽しいお話が易しい文で書かれていて、字が読めなくても図書館には読んでくれる人もいます。1冊の絵本から、平和や人生のすばらしさ、希望のメッセージが贈られるのです。
ぼくらはひとつ空の下
シリア内戦最激戦地アレッポの日本語学生たちの1800日
三元社(2021年) 優人(アフマド・アスレ)著 小澤祥子 取材・文/青山弘之 解説
日本語でつながる友人
シリアのアレッポ大には、「日本センター」があり、日本語を学ぶだけではなく習字や折り紙をしたり、マンガや本を通して日本の文化を学んだりします。年に一度は「ジャパン・フェア」というお祭りを開いて、展示やオリジナルの日本語劇を発表しています。また、慶応大と学生同士の相互交流もありました。
2011年、シリアでは民主化運動から内戦が勃発、日本人教師たちは帰国し、美しい古都アレッポは、政府軍とロシアによる空爆で破壊され、多くの人が命を落としました。そんな中でも「日本センター」の学生たちは、スマートフォンでつながった日本語の先生たちと交流し「未来のために学び続け」ました。
ひとつ空の下に、日本語でつながる友人がいます。
JICA筑波図書館 土日祝日休館 ☎029-838-1111