
病院事業管理者 軸屋智昭さん
がん診療機能強化へ

じくや・ともあき 筑波大医学専門学群卒。専門は心臓血管外科。同大臨床医学系助教授、筑波メディカルセンター病院長兼公益財団法人業務執行理事を経て2022年4月から現職。68歳。
- 昨年度の取り組みは。
県立3病院では「政策医療の充実、地域医療の発展への貢献」という基本方針に基づき、診療機能の充実・強化に取り組んだ。中央病院はロボット手術センターによるロボット支援手術や胸腔鏡・腹腔鏡手術等を積極的に行い、身体に負担の少ない「低侵襲(ていしんしゅう)治療」を推進した。こころの医療センターは看護師や作業療法士、精神保健福祉士らのチームによる訪問看護の取り組みを強化し、在宅医療の充実を図った。こども病院は小児救急中核病院として、二次・三次救急に対応するとともに、医師会や地域の医療機関と連携し、初期救急を支援することで2700件を超える救急車を受け入れた。
ー 本年度の主な取り組みは。
中央病院ではがん診療機能のさらなる強化のため、集中治療室(ICU)を含む高度急性期病床を増床し、複雑で高度な医療を必要とする患者の受け入れを拡大していく。こころの医療センターでは他の医療機関では提供が難しい、児童・思春期精神疾患や依存症、医療観察法医療、自殺未遂者対策などの専門医療の充実に取り組む。こども病院では人材育成プログラムの充実による専攻医の確保や小児医療を担う専門医の養成、県央・県北の医師不足地域への医師派遣など、本県の小児医療を担う人材の確保に取り組んでいく。
- 中央病院とこども病院を統合した新たな拠点病院の整備については。
新たな県立病院は中央病院とこども病院の強みをさらに強化し、がん、小児、周産期を柱に、出生前から老年期に至るまでの高度医療を切れ目なく提供する拠点病院として、10年以内の開院を目指して整備していく。今年度は新たな拠点病院の医療機能や病床規模などについて定める基本構想の策定を進めていく。
