【国際的な視点】目指すゴールは世界共通
JICA筑波 睦好絵美子所長に聞く
より良い世界の実現に向けた世界共通の目標であるSDGs。達成への貢献を目指すなら、国内の課題に目を向けるだけでなく、国際的な視点も欠かせない。国際協力機構筑波センター(JICA 筑波)の睦好絵美子所長にSDGs の意義などを聞いた。
- SDGs に取り組む意義をどうお考えですか。
国際的な意義と日本国内的の意義の両方あると思います。
国際的な意義は、2015 年の国連サミットで加盟国の全会一致で採択され、途上国も先進国も皆が取り組むべき世界共通のゴール(目標)が設定されているところです。17のゴールと169 のターゲット(達成基準)のほかに細かい指標が設けられモニタリングが可能となっており、実効性を担保している点も誠実な仕組みと言えます。
日本における意義は、日本政府が独自にSDGs の実施指針を作って、課題解決に取り組んでいるところです。優先課題の一番目に「あらゆる人々の活躍の推進」を掲げるなど、日本が真に取り組むべき課題をSDGs と絡めて設定しています。そのような取り組みを推進するエンジンとして活用できるのが、SDGs のいいところです。
- 17 の目標の中でも、特に注目しているものはありますか。
私自身、JICA で長く農業協力に取り組んできたこともあり、ゴール2(目標2)の「飢餓をゼロに」に注目しています。表面的には飢餓をなくそうということですが、細かく見ると、途上国での子どもたちの栄養改善や小規模農家の持続など、さまざまな問題が含まれる深みがある目標で、JICA 筑波としても特に力を入れています。
ただ、17 のゴールは全てつながっており、一つだけというよりは、全てのゴール達成に少しずつ取り組むのがいいと思います。
- SDGs に関するJICA 筑波の取り組みは。
研修員の受け入れや茨城県内の団体・企業による民間連携事業、草の根事業を通じて開発途上国のSDGs 達成に貢献しているほか、県内の児童生徒や教員向けに、JICA 筑波への施設訪問や日本人講師による出前講座、研修員の学校訪問など、さまざまな形でSDGs や世界の課題についてお話しています。
その中の一つ、高校生実体験プログラムではSDGs ワークショップを毎年、実施しています。昨年は16 校44 人が参加してくれて、すごく盛り上がりました。そういう機会の提供に力を入れていくことで、SDGs にどう関わったらいいかと考えている方のヒントになればと考えています。
身近に引き寄せて行動を
-将来を担う若者へメッセージをお願いします。
SDGs は難しく遠い世界の話というイメージがあると思いますが、よく読んでみると、栄養の問題やごみの分別など、身近な項目が詰まっています。労働環境やジェンダーの問題など、自分の「人生の選択」にも関わってきます。身近な問題に引き寄せて、自分の人生や家庭、生活をよくするためにじっくり考えて行動してもらいたいです。
また、自分一人でできることは小さいですが、例えばクラスや学校の単位で考えてみると、できることが広がってきます。そのためには、「やってみよう」と声を挙げることが必要です。勇気を持って発信すれば、一緒に取り組む仲間が見つかるかもしれません。