茨城県関連企業・団体新年展望

2024

製法や商品開発が強みに

㈱出羽屋
代表取締役 戸田 廣

 昨夏、霞ケ浦のワカサギが記録的な不漁でした。梅雨明けが早く、漁解禁前に水温が上がった影響でしょう。宍道湖や諏訪湖では早くから不漁が続くようになっていたので、地場原料に頼らない商品開発は以前から課題でした。

 弊社主力の昆布製品は、原料調達のため、北海道の産地に足しげく出向き、粘り強く熱意を伝えたおかげで、今ではこちらの希望サイズに加工した原料を供給いただけています。昆布出汁(だし)製造の会社で聞いたヒントから、社員と共に自社ならではの製造方法をつくりました。大手メーカーと違う昆布佃煮をつくることで自社の強みが一つ生まれました。この考えは製造や商品開発の基本的な考えに定着しています。

 コロナ禍でギフト販売が急減した際、穴埋めに毎日家庭で食べてもらえる商品や販売先を模索しました。粉末に近い昆布やシラスなどの小魚、ノリ、ゴマなど粒子の小さい原料を炊き合わせ、従来の佃煮と比べベタつきを抑えた、ふりかけのように食べられるものを作るとこれが大ヒット。県内の量販店に業務用として卸し、店舗でパッケージされる例も増えました。 

 原料の質を落としてまで納品価格を抑えることはしたくないという、ブランド存続への思いも、昨年後半あたりから流通大手が理解を示してくれるようになり、価格改定も可能になりつつあります。

 霞ケ浦での不漁で、地場の水産加工業が衰退しないか心配ですが、顧客や市場は急になくなりません。お客さまの声が多く集まる商品は長続きして強く、原料調達先を広げる中で得られる知見も多いものです。同業の若い後継者ともヒントを共有して地場産業を盛り上げていきます。


かすみがうら市加茂3385 TEL029-898-2111
事業内容/霞ケ浦水産物・海産物・佃煮製造販売 ネット通販
直営店/県内6店舗  創立/1930年


https://dewaya.net/

茨 城 新 聞 社