《もっと知りたい!①》米について

SDGs への理解を深めたい人にお薦めの本を JICA 筑波図書館の司書、松田ミカさんが紹介する「もっと知りたい!」。本年度の初回は、昨秋来の価格高騰や備蓄米放出で話題の米について、身近な存在なのにあまり知らない稲作を知る本です。


お米ができるまで

講談社(2015年)岩貞るみこ 作/武田美穂 絵

汗と涙、愛の米作り

「これは、新潟県魚沼市の山の中にある田んぼで、米作りにはげむ、ある農家の話である」(見開きより)。まるでカッコいい映画のようだ。そして、読み終わった時は映画を観たような感慨深さであった。
日本一と言われる魚沼産コシヒカリを作る農家の7代目、「ダイヒョー」(39歳)の田んぼは、山の中腹にあり手間がかかる。その上、近所の人生の先輩たちから「うちの田んぼも作って」との依頼が増え、見習いの「シンイリ」を雇うことに。序盤からピンチが続く。雪かきして育苗ハウス作り、種モミの選別、種モミをお湯に浸して消毒(ダイヒョーは有機栽培のお米も作っている)、水風呂での浸種(種モミが呼吸を始める)など、時計や温度計とにらめっこの繊細な作業と田起こし。そんな中、シンイリがミス連発! ここまでで100 ページを超えた。が、まだ田植えも終わっていないのだ!(うっかり者の消費者は、米作りは田植えからだと思っている)
さあ、ダイヒョーとシンイリと一緒に汗と涙、愛の米作りを体験しよう! お米って、やっぱりなんてありがたいんだろう!


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